この作品を読んだとき、新書と小説が合体したような小説と思いました。



そして、なぜこの作品が山本周五郎賞を受賞したのかもよくわかりませんでした。下巻を読むまでは…。



実験的というか、斬新な作品だと思います「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」。



でも、引用部分が多く(その内容が新書っぽい)それが本書の特徴とは言え、それをなくせば、すっきり1冊に収まるのに…というのが正直な感想。



引用部分にも意味はあると思うのですが、ストーリーを追おうとしても途中で分断されるので、「で、どういう話だっけ?」となってしまうんです。



山本周五郎的だなと思ったのは下巻の「偽善者」の章。週刊誌編集長の主人公が部下の記者に語る
「他人を羨んだり、自分を哀れに思って卑下したりするな」
 から
「周囲の人間のことが気になって目の前のテストをおろそかにするヤツは落第する」
 に至るくだりでしょうか。



他人は他人、自分は自分。人のことを気にする前に、自分が向き合うべき現実があるだろう、というのが全編に流れるテーマの一つかな、と。



主人公が自分と同世代ということで身につまされる描写がとても多く、まさに「今」を描いた小説だと思いました。でも、10年後にまた読みたくなるかは別。私は多分、読まないだろうな。



とはいえ、下巻の最後のページまで、めくらずにはいられない。そんな小説でした。力作であることは間違いありません。



人って“清濁を併せ持つ”もの。そういう人間の捉え方が好きだと思いました。





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