渡辺淳一という作家は・・・
なんとまぁ “買わせる”作品を書くのがまい作家なんでしょうか。
そういう意味では、当代きっての「大衆小説家」だと思います。



やめとこうと思ったのに、やっぱり買って読んでしまいました
「天上紅蓮」



帯には「渡辺文学の集大成、ここに誕生!」とありますが、正直、そこまで言う? って感じです。



時の最高権力者、後白河法皇に愛され、国母(天皇の母)の座にまで上りつめた女性、璋子(たまこ)。



法皇62歳、璋子14歳という祖父と孫ほど歳の離れた二人の愛に、権力や利害が絡まり、実際は大層なドロドロ愛欲劇場なのですが、そこは渡辺センセイ。さらっと華麗に、ぐんぐん読み進められるように書いておられます。



渡辺センセイの「失楽園」「愛の流刑地」を読んできて、“男に都合のよすぎる”女の描き方に疑問を隠しきれなかったのですが、このたびの「天上紅蓮」については、14歳で目覚めてしまった璋子が法王を失ってから、女としての煩悶を抱えて生きる後世をもっと細かく描いてよっ! とやっぱり、納得いきませんでした。



法王健在時の愛欲の日々より、そこが文学として切り込むべきポイントでしょうに…。



そういう意味ではやっぱり、男のロマン(老いてもなお、若い恋人とラブラブという…)を投影した作品ということでしょうか。



全編通して気になったのが、「はっきりいって」という言葉が頻出していること。
エッセイじゃないんだから、文学作品という以上、こういう言葉を繰り返し使うのは、どうなのか、と少々白けてしまった私です。



男女ともに楽しめる作品とは思いますが、どちらかというと男性向けかな。



後白河法皇の「老いてますますお盛ん」な様子と、権力を手にした男のどうしようもなさがおかしくもあり、おそろしくもある物語。



小説を読んだことがないという若いビジネスマンにおすすめの一冊です!





天上紅蓮 天上紅蓮
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-06


渡辺センセイって着眼点は素晴らしいと思う。コピーライターとしてもイケるような気がする。





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