小学生のころから高校を卒業するまで
 ずっと薪をくべて風呂をたいていました
 (薪はもちろん、自分で割る)。

 小学生までは
 冬になると練炭の掘りごたつ
 (練炭ももちろん、自分でいこす)。

 家には一時期、囲炉裏があり、
 炭火で湯豆腐とかしていて
 あやうく一酸化炭素中毒になりかけたことも。

 冬場の暖房は
 囲炉裏から薪ストーブに変わりましたが
 夏の冷房は、未だに扇風機と自然風のみ。

 そんな「ザ・田舎」な暮らしを10代まで
 嫌というほど経験していると

 成人してからというもの
 レジャーとしてのアウトドアライフに
 まったく興味が持てません。

 だって、毎日が
 半アウトドア生活だったのですから
 今さら、なんで炭火持って河原で肉を焼く必要があるのでしょう?

 田舎の濃すぎる人間関係も嫌で
 高校卒業したら
 さっさと町を出ることだけを考えていました。

 でも、田舎暮らしが染みついているようで
 今でも、緑のない所には住めません。

 たき火も好きだし
 夏の蚊取り線香のにおいも好き。
 車の中では、軽トラが一番好きです。

 結局は、田舎者。

 人にもまれて免疫がつき、
 少々の人間関係の煩わしさなら
 オッケーオーライになってくると

 あれほど嫌だった
 田舎の人づき合いが懐かしくなってる……

 勝手なもんですね。

 今日、紹介する
 「幸せに暮らす集落」
 という本は、不便極まりなかった10代の頃に
 私をたやすくタイムスリップさせるに
 十分な一冊でした。

 「有線放送の電話」と聞いて
 何のことか分かる人
 【しごび】読者の中に何人いるでしょうか?

 ふふふ。有線放送の電話
 ばあちゃんちにあったんです。
 その懐かしい有線電話の話も本書に出てきます。

 そんな、ど田舎、ど昭和の香りぷんぷんの集落に
 奇特なアメリカ人の青年が住み着き
 集落の小組合長(町内会長みたいな役職)を
 2回も務め、この本を書きました。

 ジェフリーというその青年
 エール大学とやらを卒業し、清水建設に入社しておきながら

 30代から日本で定置網漁を仕事にし
 そのあと、なぜかハーバード大と京大の大学院で
 民俗学を専攻したという変な人。

 ある意味、とってもクレイジー。
 好きなんですよ、こういう人。

 本書の舞台である
 鹿児島県、薩摩半島の山奥にある土喰(つちくれ)集落
 に移り住み、日本人の女性と結婚し
 かわいらしい娘と息子がいる……

 ようやるわ、と思いますが
 たいしたもんだわ、とも思います。

 集落の平均年齢は80歳近いといいますから
 まだ40代そこそこの「ゼフさん(ジェフリーさんのこと)」なんて
 未就園児みたいなもん(鼻たれ小僧とも言う)です。

 60~70代でまだ若手扱いされる
 その集落では

 ジェフリーさんを最後まで
 外国人と気づかないまま逝ってしまった
 「フヂおばん」のような人もいて

 彼は、アメリカ人でも日本人でもなく
 「土喰の人」として、普通に暮らしています。

 その暮らしぶりが
 淡々とした筆致から伝わってきて
 たまらなくなります。

 さぶうても、あつうても
 やっぱり、田舎ってええわ。
 
 あぁ、やっぱり勝手ですね、わたし。

 でも、鹿児島の土喰でなくても
 こういう“幸せな集落”は、どこにでもあるし
 「以前からある」だけでなく「これからつくれる」とも
 実感します。

 単に、田舎暮らしを「懐かしむ」だけでなく
 「まだ、できることがある!」と
 気づかせてくれたのが、この本です。

 南方新社という地味な版元から出ているせいか
 現時点で、Amazon では在庫1点しかありません。

 さぁ、手にするのはだれだ?

 わたしは、絶対マケプレには出しません。
 ずっと手元に置いて、何度でも読み返したい本だから。



 心が疲れたときに
 めくりたくなる本です。

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