ダンダリンって
 人の名前だったのですね・・・

 テレビドラマ「ダンダリン 労働基準監督官」
 は同名のコミックをドラマ化したものですが
 そのコミックの原作者が田島隆さんです。

 彼が原作の他の作品としては「カバチタレ!」もありますね。

 でも、その田島さんが私と同郷の
 呉市出身ということを最近まで知りませんでした。

 さらに、コミックの原作者であると同時に
 海事代理士で、行政書士であることも。

 地元のラジオ番組に田島さんがゲストで出演していて
 新刊をPRしていたので、興味本位で思わず買ってしまったのが
 「カバチ流人生指南 弱者はゴネて、あがいて、生き残れ!」
 です。

 タイトルも表紙も強烈ですが
 中身も強烈でした。

 1章から3章は幼少期から
 ハタチで結婚して離婚するまでが描かれています。

 私より2歳若い田島さんは
 ほぼ同世代。 
 感覚的には同世代ならではの共通するものを
 感じるのですが

 生活自体は同世代でこんなにも不遇な生活をしてきた人がいるのか、
 と驚くばかりでした。

 初恋=結婚、離婚=失恋だった
 若い田島さんは、初めて恋した彼女と別れたのち
 働く意欲さえなくしてしまいます。

 それでもアルバイトを転々とし、ホームレス寸前の生活を続ける中で
 「手に職」ではなく「“頭”に職をつけよう」と目覚め
 高校中退でも受験資格のある
 海事代理士の資格に挑みます。
 そして、合格。

 それをきっかけに
 いろんな意味でゲリラ的な手法で道を切り開き
 行政書士、漫画原作者へと
 人生の駒を進めていきます。

 ざっくりと言ってしまえば
 幼少期から辛酸をなめ続けてきた男の
 「一発逆転物語」
 といったところなのですが

 読み終えた今も
 さわやかさとか爽快感より
 ほろ苦さがずっと残る
 そんな半生記という印象を持ちました。


 私は自分の子ども達に対して
 「高校を卒業する時点で、
  目的もなく進学するくらいなら
  働いた方がいい」と言ってきました。

 今の世の中、働く意欲と才覚
 そして本人の努力があれば
 道は切り開いていける!
 と思っているからですが

 本書を読んで、それは単なる驕りだと気づきました。

 有名校でなくとも
 人並みに高校を卒業し
 曲りなりにも短大へ進み、職を得て今があるから
 子どもに偉そうに言えるだけで

 高校中退というだけで
 同じ仕事をしていても高卒の同僚と
 待遇に露骨な差をつけられる……

 そんな田島さんのような経験をした人からすると
 私がわが子にする説教なんて寝言同然だと気づきました。

 当たり前のことのように卒業した
 高校卒、短大卒と履歴書に書ける経歴で
 どれだけ自分が助けられ、守られているか……。


 人は「ない」から求めるのですが
 すでに「ある」生活をしていると
 その「ある」ことのありがたみすら忘れてしまいます。

 「ある」生活をしていると
 「ない」ことの不自由さ、理不尽さに
 気づくことができません。

 私は田舎育ちで不自由は人一倍体験してきたつもりでしたが
 親に捨てられることも、食うに困ることもなかったわけで
 本書を読んで、私の言う「不自由」なんて、
 ほんと寝言にもならんなと思いました。


 でも、私は
 田島さんのような視点、考えを持っている人が好きです。
 本書の「おわりに」にある心に残った一節を引用します。

ボクの言うサバイバル戦術とは、非常にシンプルだ。
 大きな目標など最初から持たないのだ。


 自分に選べる数少ない選択肢。そこから一歩を進める道をチョイスし、
 ささやかな結果を得る。


 結果はキャリアでもノウハウでも人脈でも、なんだっていい。
 そして、その成果を土台にして、次に自分が何をやれるのか模索するのだ。

 
 なにかしらの成果を土台にしているのだから、
 選択肢は前より少し増えているはずだ。


 そして、いまの道よりもよい選択肢に進むのだ

 人脈ゼロ、資金ゼロ、顧客ゼロで
 半ば背水の陣でスタートした私のフリーランス人生も
 田島さんのような“サバイバル戦術”で進んできました。

 資金もコネもないのだから、正攻法でやってちゃダメで
 サバイバルな戦術にならざるを得ない。

 でも、それは大それたことではなく
 目の前の仕事をコツコツ積み重ねていくうちに
 人が気づかない小さな隙間が見えて
 そこをどう攻めるかを考えるようになる
 ただ、それだけ。

 改めて思います。
 「“頭”に職をつける」っていい言葉だな、と。

 いろんな意味で強烈な本ですが
 これはまず、家族に勧めなければ(特に娘たち!)と思った一冊。



 呉、広島が舞台なので文中に出てくる
 学校とか場所とか広島弁が、とってもリアルでした。

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村